さよならは言わない
1
自分は果たして、何のために生きて何のために死ぬのだろうかーーー。
いつ頃から考え始めたのか定かではないが、本当にふと、気が付いたらそう思っていた。
母親と仲が悪いわけではない。むしろ同世代と比べると比較的仲が良い方だと思う。
学校生活に不自由しているわけでもなく、友達もそこそこ多いし嫌われ者でもない。成績優秀で優等生として先生に可愛がられている。
部活動も優秀、成績も個人と団体戦で残していて先輩後輩とも仲が良い。
きっと傍から見れば、私は恵まれた人生を歩んでいる。
何一つ不満はない。
不満はないけれど、満足しているわけでもない。
けれど自分がここにいる意味を、考えてしまったのだ。くだらないと人は笑うかもしれないが、私にとっては自らのアイデンティティを揺るがす問題だった。
だって私は、何一つ自分に自信が無かったのだから。
< 1 / 6 >