さよならは言わない
何をやっても一番にはなれなかった。
勉強も部活も、友人関係も先生からの信頼も。人並みかそれ以上にはこなすのだけれど、『一番』は決まって私以外の人。
羨みも恨みもしなかった。だって私よりその人が相応しい理由が分かってしまうから。だから妬ましいけれど、それを受け入れることができた。
何をしても一番になれない自分に腹がたっただけ。
こんな中途半端な性格だからか、年頃の女の子がワーキャーするような恋愛はさっぱり分からなかった。
好きとか愛しいとか一緒にいたいとか。教科書が終ぞ教えてくれなかった感情に、少し憧れを抱く。
けれど、きっと。
私はその感情を理解する事なく私という人生のテキトウな所で、適当な人と結婚して、子供を産むのだろう。
もしくは一生独り身で過ごすのだろう。
中途半端な私が、その気持ちを他人へ向ける感情へ持ち込んではいけない。
それが、いつまでも未発達のままの私が、他人へ見せられる精一杯の誠意。
だからこそなのだろう。
大学に入学して、親の監視が緩くなって一人暮らしが始まると止められなくなってしまったのだ。
『出合い系サイト』に片っ端から登録して、そこで知り合った知り合い未満の男の人たちと肌を重ねることを。