仮に君と恋をしたなら
「ねぇ、恋人ごっこしてみない?」
「…は?」
真山は固まった。
私も何でそんなことを口走ったのか、真山の反応を見て、間違えたことに気づいた。
お互いに照れるでもなく、茶化すでもなく。
この変な空気を作ってしまった収集をどうつけるか考えるくらいで。
ちょうど、チャイムが鳴ってホッとしたのと同時に気づいたことがある。
教室に二人きり。
「あれ?次、移動?!」
「え、マジ?!次なんだっけ」
「化学、実験かー!ヤバ、完全遅刻!もう、真山~!」
「俺のせいかよ?!山田、急げ」
教科書、ノート、筆記具を持って慌てて教室を飛び出す。
慌てたところで遅刻に代わりはなく、注意を受けた後、私たちは廊下に立たされた。
「今どき、廊下に立たせるかー?」
「仕方ねーよ。俺ら、次遅刻したら廊下って先週言われたばっかだし」
「あー、そうだっけ。これ、丸々立ってんの?」
「さー?」