仮に君と恋をしたなら
「しゃーねー、やるか!」
「何を?!」
「親睦深めんだろ?」
「だから、具体的に何をどーするのよ」
真山は考え込んだ。
「…、研究?」
「研究?!」
「恋人がどういうもんかとか」
「リア充を、観察するってこと?」
化学で廊下に立たされたときに、イチャついているカップルを見たけど、とてもじゃないけど…私たちにあの空気感は出せない。
「そうだな。試しに放課後、カップル多そうなとこ行ってみようぜ」
私たちは放課後、いつものファーストフード店やファミレスではなくデートスポットとなっている少し有名な公園に行くことになった。
午後の授業が終わっていくごとに憂鬱な気分になるなんて初めてだ。いつも午後の授業なんていらない、なければいいと思うのに。
今は、正直放課後が来なければいいと思うほどだ。日直でも委員会でも掃除当番でも何でもない。
逃げ道は無さそうだ。