仮に君と恋をしたなら
「アレ?普通に入れるな」
「当たり前でしょ。公共の場なんだから」
どこか異世界に繋がっているわけでもなし、入るだけにそんな気負う必要もないのよ。
という私の考えは甘かった。
ひと度、歩みを進めると、そこには人目を憚らず己の世界に浸り込む幾多の世界が広がっていた。
そう、まるで異世界のような光景…。
「や、山田、中央にデカイ花壇あるの見に行かねーか?」
見学はどうした、真山。
早くも目をそらす真山。しかし、私にも入って行きなり他人の濃厚なキスシーンは刺激が強かった。
「うん、そうね」
「お前美化委員だしな、やっぱ花とか興味あんの?」
真山、美化委員だからといって安直に花壇が好きとは結びつかないんだよ。園芸部ならまだしも。
「特別花が好きなわけじゃないよ。美化委員なのも、汚れが気になるからってコレ前も話したよ?」
「そーだったな。俺、何言ってんだろ」
「まー、でも花は見てると癒されるよね。うん、普通に好きかも」
「へ~、お!けっこうスゲーな!」
流石、有名なデートスポットなだけはある。学校より遥かに大きくて種類も豊富。全然詳しくはないけど、見たことないような花もある。色もカラフルでキレイだ。