仮に君と恋をしたなら
「すごいね!」
「な!俺、花って春のイメージしかないわ」
「それはない。季節の花とかあるじゃん。春は桜、夏はヒマワリとか」
「あ、そっか。やっぱ女子だな山田」
え、何。なんか今…、胸らへんがサワッってした?
一般常識じゃん。たとえ、真山が私のことを異性として見ていないにしても、それを知ってるから女子だなんて、真山は私のことを何だと思ってたんだと問い詰めたいところだ。
しかし、真山がそれを誉め言葉で使ったってことが伝わってきてしまったから、何だか妙な気持ちだ。
「花の写真?」
「うん、記念に」
「なら、一緒に撮ろうよ。貸して」
私たちの反対側の花壇に初々しい制服カップルがやって来た。
「真山、こっち」
「え?」
「あそこ、写真撮ってるから、写っちゃう」
「おう、あぶね」
真山は写り込まないように移動したかと思えば、写真を撮っているカップルの方へ近づいて行った。
「ちょ、真山?!」
私は真山の後を追いかけた。
どうしたんだろう?!もしかしてあそこのカップルが知り合いだったとか?制服違うし、何処の学校だろう?
「良かったら写真、撮りましょうか?あっち側の方がキレイに撮れますよ」
「あ…お願いする?」
「うん。すいません、お願いしていいですか?」
初対面の人に声を掛けにいったんだ…。