仮に君と恋をしたなら



「もう少し二人寄ってください~」



もう、肩が当たるからこれ以上は寄れないんですけど。携帯横向きにすれば余裕で収まるんじゃ…



「これで入ります?」



真山は私の肩を抱き寄せた。



「ちょ、」

「OKでーす」



OKじゃないし!!



「山田、俺じゃなくて前見て笑えよ」



笑えるか!
そもそも笑いかけてないし、睨んでたんだよ!

肩を抱き寄せるその慣れた感じが何か気に入らない。



「あざっす」



他県のカップルと花壇で別れても、私は離れていくカップルを目で追っていた。すると、彼女が彼氏の袖をそろっと掴み、それに気づいた彼氏が男らしく手を取って繋いだ。



「山田、見てみ。いい感じに撮れてるぞ!」



真山は携帯を私の顔の前に横から出して来た。写真の中の真山は満面の笑みで私の肩を抱き、反対の手でピースサインをしている。私はというと、やや口元が引き吊っていて神経は左肩に注がれていた。



「もう一枚!」



そう言って、真山は画面をスライドした。真山が私の肩を抱き、その直後私が真山を睨み付けている写真。しかし、写真に写っている私の表情は思ったより悪態をつけられていなかった。


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