仮に君と恋をしたなら




「俺、山田はこっちの写真のが好きだなー」

「は?何で」

「何つーか、素な感じで可愛くね?」



真山は無自覚で簡単にそういうことを言ってのける。だから勘違い女子が多発するんだろうな。モテるのも分かるが誰にでもは本当に良くないぞ。天然タラシめ。

私は真山がそういう生き物だと理解してるから、もうだいぶ免疫ついたけど。気を抜けば私だって照れてしまう。



「目、腐ってんじゃないの?」

「ヒドッ」

「それ、両方送って」

「おう!あ、待受にする?恋人っぽくね?」

「しないよ、バカ」



ほぼ毎日顔を合わせて、それでなくても恋人ごっこなんて始めてしまったせいで、真山のこと考えさせられるのに、待受になんてして、これ以上真山で私を占めないでよ。

花壇付近のベンチで一組のカップルがイチャつき始めた。やはり自然と目を逸らしてしまう。見てはいけないものみたいに。



「あ、ブランコ空いた。山田、ブランコ行こうぜ!」



ブランコって…子供か!

あのまま花壇でイチャつき出したカップルのキスシーンを拝むよりマシか。

ブランコとか小学校低学年くらいまでしか乗ってない。

私はゆっくりブランコに腰を落とした。
持ち手の鉄の鎖が冷たい。感覚すべてが懐かしい。私、成長したなお尻。こんな15センチ程の板にお尻が乗っていたなんて。



< 37 / 95 >

この作品をシェア

pagetop