仮に君と恋をしたなら
「俺、山田はこっちの写真のが好きだなー」
「は?何で」
「何つーか、素な感じで可愛くね?」
真山は無自覚で簡単にそういうことを言ってのける。だから勘違い女子が多発するんだろうな。モテるのも分かるが誰にでもは本当に良くないぞ。天然タラシめ。
私は真山がそういう生き物だと理解してるから、もうだいぶ免疫ついたけど。気を抜けば私だって照れてしまう。
「目、腐ってんじゃないの?」
「ヒドッ」
「それ、両方送って」
「おう!あ、待受にする?恋人っぽくね?」
「しないよ、バカ」
ほぼ毎日顔を合わせて、それでなくても恋人ごっこなんて始めてしまったせいで、真山のこと考えさせられるのに、待受になんてして、これ以上真山で私を占めないでよ。
花壇付近のベンチで一組のカップルがイチャつき始めた。やはり自然と目を逸らしてしまう。見てはいけないものみたいに。
「あ、ブランコ空いた。山田、ブランコ行こうぜ!」
ブランコって…子供か!
あのまま花壇でイチャつき出したカップルのキスシーンを拝むよりマシか。
ブランコとか小学校低学年くらいまでしか乗ってない。
私はゆっくりブランコに腰を落とした。
持ち手の鉄の鎖が冷たい。感覚すべてが懐かしい。私、成長したなお尻。こんな15センチ程の板にお尻が乗っていたなんて。