仮に君と恋をしたなら
「フォーッ!ヤベ、懐かしい!」
真山は隣でブランコを立ち漕ぎしていた。一漕ぎで一気に高さを上げていく。無邪気な表情はまるで子供だ。
「ちょ、危ないし、恥ずかしいから止めなよ!」
「山田、漕がねーの?それか漕げねーの?」
真山は私を乗せるのが上手い。
「漕げるし!」
不安定な細い板に両足を乗せて、小学校低学年以来、私は全力でブランコを漕いでやった!
見える景色や視界が全然違う。ずっと、遠くまで見える。気持ちいい。
「ヨッと」
真山は漕ぐのを止めて、揺れが収まって来たところで飛び降りた。そしてブランコが暴れないように手で持ち手をキャッチして止めた。
その一連の流れを見ていて、私は恐怖に駆られた。
どうしよう…跳べない。
飛び降りるのは足がすくむ。真山にブランコを止めてもらうのも、急に鎖を掴んだ時の反動の揺れとかも怖いし、バランスを崩して落ちるかも。どうしよう…
「山田、ブランコ気に入ってんじゃん!まだ乗ってる?俺、何か飲み物買ってくるけど」
「行かないで!」
「え…?」
つい、不安から大きな声で呼び止めてしまった。
「…お、…降りれない」
「はぁ~?!ちょ、とりあえずもう漕ぐな」
「ね、どうしたらいい?!」
「急に止めるなよ?徐々にな。勢い収まったら止めてやるから」