仮に君と恋をしたなら
真山は私のブランコに近づいてきた。
「や、ヤダ!それ、止めんの怖い!」
「はぁ?!」
「だって、板から落ちそうだし!!」
「どうしろってんだよ…」
本当にごめんなさい。
後先考えずに立ち漕ぎなんかして。でも、煽った真山も少しは悪いんだから。
「…よし、跳べ」
「だから、怖くて跳べないって言ってんの!」
「だから、受け止めてやるから。信じて跳べ」
真山は真正面に立ってブランコの勢いが落ちるのを待つ。
「無理無理無理!!余計コワイわ!」
「おい」
「信じる信じないとかじゃなくて、揺れてる乗り物から上手く跳んで着地できるイメージが出来ない!」
「だから、俺が着地させてやるから。お前は俺に飛び付いてくればいいだけ」
簡単に言わないでよ。跳ぶのも飛び付くにも抵抗があるの!葛藤があるのよ!
でも、…背に腹は変えられない。
「…分かった」
「よし、俺のタイミングで跳べるか?」
え、私のタイミングで跳ばせてよ!そんな直ぐに跳べない…
「いいか?俺の方に一番近づいてきたタイミングで「来い!」って言うから。聞こえたら直ぐに跳べ」
「直ぐは跳べないかも…」
「いいよ。迷ったら跳ぶな。何回でも呼んでやるから」