仮に君と恋をしたなら



真山は私のブランコに近づいてきた。



「や、ヤダ!それ、止めんの怖い!」

「はぁ?!」

「だって、板から落ちそうだし!!」

「どうしろってんだよ…」



本当にごめんなさい。
後先考えずに立ち漕ぎなんかして。でも、煽った真山も少しは悪いんだから。



「…よし、跳べ」

「だから、怖くて跳べないって言ってんの!」

「だから、受け止めてやるから。信じて跳べ」



真山は真正面に立ってブランコの勢いが落ちるのを待つ。



「無理無理無理!!余計コワイわ!」

「おい」

「信じる信じないとかじゃなくて、揺れてる乗り物から上手く跳んで着地できるイメージが出来ない!」

「だから、俺が着地させてやるから。お前は俺に飛び付いてくればいいだけ」



簡単に言わないでよ。跳ぶのも飛び付くにも抵抗があるの!葛藤があるのよ!

でも、…背に腹は変えられない。



「…分かった」

「よし、俺のタイミングで跳べるか?」



え、私のタイミングで跳ばせてよ!そんな直ぐに跳べない…



「いいか?俺の方に一番近づいてきたタイミングで「来い!」って言うから。聞こえたら直ぐに跳べ」

「直ぐは跳べないかも…」

「いいよ。迷ったら跳ぶな。何回でも呼んでやるから」



< 39 / 95 >

この作品をシェア

pagetop