仮に君と恋をしたなら
私、真山は信じてるよ。
だから、少しだけ跳べる気がしてきた。
「よし、そろそろ足止めていいぞ」
「うん」
「あと、2、3回見送ったら声掛けるから。イケるか?」
「…うん」
揺れがだいぶ小さくなってきた。真山がまた少し距離を詰めてきた。届きそう…
「来い!」
「……!」
私は真山に吸い込まれるように飛び付いた。
しかし、直ぐに重力に負けて身体は沈んでいくかと思いきや、思いの外、上へ跳べてしまったようだ。
真山が手を広げて待っている。その胸へというよりは頭上近くまで跳んで、真山は私の腰を両腕で落とさないようにがっしり抱き止めた。
私は真山の頭にしがみつく形で胸を真山の顔面に押し付けて、何とも破廉恥で不恰好だ。脇の下に腕を入れてフワッと華麗に回転着地という思い描いていた理想の着地では全くなかったけど、何とか無事着出来た。
真山は腕を弛めて私の身体に手を添えながらゆっくり地に足をつかせてくれた。しかし、私の足に力が入らない。沈みそうになる身体を抱き寄せて持ち上げてくれた。