仮に君と恋をしたなら
少し強めの風が吹いて、髪がなびいた。セミロングで特に髪を纏めたりもしていない。今朝、風呂に入って生乾きで無造作な状態だった為、軽く寒気がした。
「山田、香水とかつけんの?」
「え、何もしないけど」
「じゃー、シャンプー?今、良い匂いした。あ、こういうの気持ち悪い?」
小宮は気にしいだな。一々気を遣ってくれる。私が嫌がらないよう言動に慎重だ。
「全然!そんな、気にしてくれなくて良いよ。今朝、お風呂入って来たからシャンプーかな?」
「気にするよ。気になるし。嫌われたくないから」
「そんな、嫌ったりしないよ。大丈夫だから。私、嫌なこととかハッキリ言うし、友達になろうとしてくれてるんでしょ?」
「うん。…ごめん。でも、まだやっぱ好きだからが本音。友達になって山田のこともっと知りたい」
本当に、友達からやり直す気なんだ…。
気持ちは嬉しいけど、小宮は良いやつだと思うけど、私はこの先小宮を恋愛対象として好きになることがあるのかは分からない。
現状、小宮の印象が目まぐるしく更新されていく。きっと嫌いになることはないから、問題は私の好きの度合い。
そんなもの直ぐに答えは見えないし、出せない。分かるのは、意識はするようになったけど、小宮ほどの想いが私に見つからない。