仮に君と恋をしたなら



声色や表情で何かその言葉の裏に隠れていることくらいは分かる。それに気づけてもその何かまでは辿り着けない。察してくれ的な言葉が苦手だ。それ以上聞くことも出来ない。

ただ、二人は思っていないことは口にしないと思う。正直な印象しかないし、私が勝手に思い過ごしているだけならいいんだけど。

とりあえず、小宮とは距離を置くように気を付けよう。小宮には悪いけど。

私はそもそも彼氏がいたら他の男子と仲良くしていたらいけないというところから本当は理解しがたい。別に友達くらい良いと思う、という見解を持っている時点で大半の反感を買うんだろう。

でもそうでなければ、私に本当の彼氏が出来たとき、真山と仲良くしてはいけないなんてことになる。

そんなことになるなら私は彼氏なんて要らないし、究極恋愛ができなくても良い。恋愛を優先することで真山と私が親友であることが世間一般的に許されなくなるなら、例え間違っていることでも真山と恋人ごっこでもなんでも貫いて私は真山と居ることが許される方法を選ぶ。

でも、これはあくまで私のエゴで、真山に本当に好きな人が出来てしまった場合は覆せない。逆の場合、真山と親友でいたいという私の気持ちは押し通せないだろう。親友として真山の気持ちは優先したい。そうなると、私はやっぱり親友でいられなくなるのは致し方の無いことなんだろう。


< 65 / 95 >

この作品をシェア

pagetop