仮に君と恋をしたなら
「私のことは悠(ハルカ)って呼んで。で、こっちが紫(ユカリ)」
「わかった」
私はこの度同じ班になった女子、大塚悠(オオツカ ハルカ)と前川紫(マエカワ ユカリ)と友人になった。
話してばかりで授業放棄していた私たちと同じ班の男子が、しっかり実験を進めてくれていた。
「ごめん、片付けはウチらやるから」
紫が男子に声を掛けているのを見て、単純に良い子だと思った。
昼休み、いつもの場所で真山が購買から戻るのを待ちながら、グルグルと考えを巡らせた。
グラウンドを見渡せるベンチに寝そべり、グラウンドではなく空を見上げ、流れる雲を映した。
「いるじゃん!居ないかと思った」
「あ、おかえり」
空との間に真山が割って入ってきた。
購買で買ってきた袋を私の顔面に軽く乗せる。
「ちょっ!」
「何、寝てんの。踏むぞ」
私は上体を起こして席を空けた。
「たまごサンド売り切れてた。ハムカツで良い?他トマト入ってたから」
「うん、さすが。私もカフェオレ売り切れてたからミルクティー」
互いの好みは大体把握している。