一ヶ月の恋…最低男の言い訳…
episode sixth
今日は用事があるから会えない。

微妙な空気のまま…。

せっかく地元にかえってきたのに意味がない。

明日は会える…そう思っていたのに…

夜なってメールが来た。

「明日、子供の発表会見に行きたいから会えない…」

「わかったよ」

何事もなかったかのように、平気な振りしてメールを返した。

「明日、メールする」

「わかったよ」

「明日は会えると思う」

「楽しみにしてるね」

私だって会いたい。

そのために地元に来たから。

だけど次の日に来たメールは…

「ごめん、子供とご飯行くし泊りに来るから会えないし、連絡できない」


だったら昨日言ってよ…

そしたら帰ったのに。

「わかったよ…」

「ごめん…子供に俺たちの事話して、認めてもらいたいし…」


何…それ…

子供に了承してもらえなかったら、私たちの関係は終わるの?

それなら…最初から付き合おうとか未来を語らないでよ。

夢を見てしまったのに…今裏切られるの?

付き合って1ヵ月も経ってないのに…。

この結末は何?先が見えてるよ…私には。


その日から連絡は途絶えた。

メールをしても返事はない…。

電話をする勇気もなかった…話したら別れる事になるのがこわかったから。


他にいい人でも見つけたのかな?

そんな事を考えながら時々メールした。

「忙しいの?」とか「連絡して」とかそんな内容。

一向に返事はない…お正月の旅行はどうするの…?

予約してしまっているし…。


連絡がこなくなって2週間。

私はもうはっきりさせたくてメールした。

「お疲れさま‼やっぱり、いい大人なんだし自然消滅はないと思う。隆司がどう思っているか知りたい」

するとお昼過ぎに返事がきた…

「ごめん。無視していた訳じゃない…でも子供の姿見たらまだ一人で居なきゃいけないと思った。子供に会って気持ちわかった…」

それなら早く言ってよ…。
2週間も放置されて無視じゃないって何?

私は

「別れるって事?旅行もキャンセルだね」

「そうなるよね」

「わかった…」

「俺は歩花を嫌いになった訳じゃないから信じてほいし…嘘に聞こえるかもしれないけど、気持ちに嘘はないから」

いい人にならなくていいのに…

私に隠れて女の子と遊んでいたのも知っていたし…

だけど、私と話した未来は何だったの?

全て嘘じゃん…最低だ…。

「嫌いになった」と言われた方が何倍もマシだ。

あなたに本当の気持ち…あるの?

子供を理由に私を振った隆司は女の子と遊んでるの知ってるよ…もっとマシな嘘つけばいいのに。

最後に「部屋着とか取りにおいで。捨てられないし…」

本当は顔も見たくない。

だけどメールで終わらせたら、私の気持ちは何も伝えられないままとか悔しい。

「週末、取りに行く」

「わかった」

私は隆司が一人で寂しい時間を埋めただけの存在?

都合いい人になる予定じゃなかったのに…

最後はキレイな言葉で悪い人にならないように別れたつもり?

それが無性に腹が立った。

人をどこまでバカにしたら気が済むの?

離婚した理由を聞いて「嫁は家事をしなかった」とか「他に男いた」とか色々言っていたけど、いつも飲み歩いて家庭をかえりみなかった結果。

最初に気づけばよかった…。

私はすぐ…信じてしまうから…。

甘い言葉に弱いし、甘えてしまうから…

普通の事なハズなのに…

自分が情けない…

隆司がこんな人だと思わなかった。

簡単に未来を語れるものなんだね…。

不思議で仕方ない。

仕事も手につかない。

悲しいよりイライラして…だから、どうせ別れるから言いたい事を言おうと決めていた。


決戦は土曜日の夜。

後悔はしない‼

嘘を並べた隆司が許せなかった…。

仕事も辞めて、隆司のところに行くつもりだった。

家はキレイにしてほしいとか草むしりもしてほしいとか散々言っていた憎き相手。


金曜日の夜は眠れなかった。

変なテンションの方が無駄に緊張しなくて済むしいい。


土曜日の夜…「物取りに来ていいよ」

普通に言えるあなたはすごいよ…呆れる。


インターフォンを鳴らす…

「歩花…ごめんね。こんな事になって…」

「本当だね…」

「俺、最低だよな」

「最低だね…未来を簡単に語れるあんたは何?」

「えっ…?」

「だから家族に捨てられたんだよ?わかる?未来は簡単には語れないはずでしょ?だけど全部嘘だったんだね…人を騙して楽しかった?」

「俺は本当に歩花の事、思っていたよ…信じてもらえないかもしれないけど…」

「まだ信じれと言うの?ありえないでしょ?別に今さらいい人ぶる必要なくない?」

「………そんなつもりはない」

「さっきの余裕はどうしたの?上手くいけば私を抱けるとでも思ったの?」

「いや…」

「そこら辺の女と一緒にしないでくれる?」

「はい…」

「後さ、本当は顔も見たくなかったの。あんたの家で、誰が寝たかも分からない布団のにおいがついた部屋着とかいらないから捨ててくれる?よろしく…じゃあ」

「俺と話した事、全部…嘘にするの?」

「嘘にしたのあんただから…いい人ぶるのもいい加減にして…呆れるわ…奥さんに泣きすがって戻って来てもらえばいいじゃん」

「それはない…」

「じゃあ、一生独りでいれば…お似合いだよ」

「………」

「じゃあ…本当に最低、最悪だった。要らない思い出ありがとう‼」

「………」

そう言葉を吐き出して玄関を出た。

何が起きているのか分かってないような、マヌケな顔をしていた。

だけど、言いたい事は言えた。

後悔はないし、別れて良かったとすら思った。


嘘つくならもっと上手くつきなよ。

バカみたい…。

あんな男を好きになるとか時間の無駄。

私の4ヵ月返してほしい…。

あんなヤツを一瞬でも愛したなんてね…笑える。


最後に一言…言ってしまった。

玄関を出る瞬間に…

「呼べばすぐ来てくれる女の子とよろしくやって…私はそんな立場ごめんだから」


すっきりした…

だけど…人間不振になりそうだ。

次に付き合う人もこんな人ではない事を願う…。

だけど、しばらく恋はお休みだ。

私が隆司と付き合って学んだ事は、簡単に未来を語る人には気を付けよう…と思ったし、しばらくは男の人を信じる事などできない。


私は普通の恋愛がしたいだけ…

最低な男はたった1ヵ月で未来を語り、結果自分の自由な時間を手に入れたかっただけ。

2度と会いたくもないし、顔も見たくないからしばらくは地元に帰らない。


この恋で学んだ事は1つもない…。


こんな男に皆さんご用心。
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