涙から好きへ
「あ、鈴野じゃあな。」

わたしに気づいた高宮くんが挨拶をしてくれる。

「うん、バイバイ!」

美亜ちゃんたちの視線が気になるけどそんなのお構いなしに挨拶をした。

これくらいしか、わたしが話す機会なんてないから。

それくらいは、許してほしいんだ。

「いい調子じゃない?杏果!高宮くんと話せちゃってさぁ!」

「そんなことないよ、高宮くんはみんなに優しいんだよ。自惚れてられないの。高宮くんには美亜ちゃんがいる。」


そう、自惚れてられない。
どうせ、2年になればクラスも離れちゃうんだから。

「バレンタインは、あげないの?杏果は料理が得意なんだし」

「えぇ?どうしよう、変に思われないかな。」

「大丈夫だよ!高宮くんってばチラチラ杏果のこと見てるんだからね!」

本当なのかなぁ…。
< 3 / 20 >

この作品をシェア

pagetop