涙から好きへ
「じゃあ、あたしこっちだから。また、メールかなんかして!」

「うん、バイバイ。」


本当にどうしよう。チョコレート。渡すならばれないように渡したい。

「あ、鈴野?」

低くて優しい声がわたしの耳に届く。

嘘でしょ?

パッと顔をあげるとそこには高宮くんがいた。
「え、なんで…?どうしたの?」

まだ制服姿の彼がここにいるのがわからなかった。

わたしと反対方向の家に住んでるって誰かに話してるのが聞こえた。

なのに、なんで…?

「あ、いやちょっと用事があって。鈴野、途中まで一緒に帰らねぇ?」


「あ、うん、いいよ。」

まるで、夢でも見てるかのようだ。
< 4 / 20 >

この作品をシェア

pagetop