軍人様とキケンな婚前同居⁉︎
「ほら、これやるから。な?
だから機嫌直せよ。」
「………。」
「お前の好きな飴。ん。」
「んぐっ?!」
『ん。』とか言いながら
栗は私に手渡してくるのかと思いきや
勝手に私の口の中に棒キャンディーを突き入れた。
嘘でしょ?!
普通そんな無理に人の口に刺してくる?!
「し、信じられない…っ!けほっ!」
「お前が意地張るからだろ。
俺からの仕返し兼ご褒美。」
「何そのギブアンドテイク!?
良いのか悪いのか分かんないんだけど!」
驚くような従兄の行動に
思わずそうツッコミをいれてしまう。
良い子は友達に無理やり棒飴を口に押し込んだりしないでね。
「そんで?じゃあお前今日家どっち帰るわけ?」
「………それが…。」
「?」
「……今日から毎日、学校にはお迎えに来られるそうで…。」
────そう。
実は今朝 学校へ行く前に
幸次郎さんからそう告げられていた。
▼今朝のやりとり▼
『有梨、紅茶。』
『はい、今用意しますっ。』
『有梨、朝食片付けといて。』
『はい、分かりました。』
『有梨、今日から毎日迎え行くから。』
『はい、分かり───ん?』
──────というわけでございまして。
昨日までとは違って
朝から俺様状態のまま
コキを使われ
そしてその流れのまま軽い感じで
そう告げられたんですよね〜あははっ。
………。
「少しも笑えないんだけど。」
「え、いきなり何。」
私の突然の文句に困惑する栗。
うぅ〜どうしよう〜!
だから私今逃げ場ないんだよ〜!
(これじゃお父さんに言えないよー!)
そうして私が頭を抱えて唸っていると
タイミング悪く、
そこで学校の鐘が鳴る。
栗からの助言を聞くこともできずに
そのまま授業が始まってしまった───。