軍人様とキケンな婚前同居⁉︎
「っ…あ……こ、幸次郎さん…!」
なんと。
その私の腕を引っ張り上げてくれた
恩人の方は
この騒ぎの元である
あの伊勢幸次郎さまで。
幸次郎さんはもう片方の手を
私の腰に回し
私の体を引き寄せると
文句を言ってきた女子生徒の方に
その切れ長の瞳を向ける。
「───何してくれてるんです?貴女。」
そして
私を突き飛ばした女の子を
鋭い視線で射抜き
そう、冷たい声を発した。
───まるで昨日と同じ、怖い表情。
幸次郎さんが怒っていることは
すぐに私も分かった。
「彼女を突き飛ばすなんて
貴女は良い度胸をお持ちのようだ。」
「っ…あ、あの私 そんなつもりじゃ…。」
「ほぉ、ではどのようなおつもりで?」
言葉で攻め込んでいく幸次郎さん。
女の子は怯えて怖がっていて、
この事態に周りはザワザワと騒ぎ始める。
私は慌てて彼を止めに入った。