嘘つきは恐怖のはじまり


「地震!?」


それでも香奈はまだ、準備室の真ん中で笑い続けている。


「香奈!危ない!」


薬品のはいっている棚のガラスが割れて、香奈にむかってとんできたのだ。


パリーンッ!


「あ゛ぁ゛ぁ゛……」


香奈がうずくまった。


「塩酸……」


塩酸のにおいがした。


香奈の肉がとけている。


「あああああああ!!!!!」


さらに無数のガラスが体中に突き刺さり、香奈は叫んだ。


「香奈……?」


「ねえ香奈、香奈……」


「み……ぅ……ごめ…ん」


香奈は完全に動かなくなった。


「かなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「……香奈」


後ろを振り向くと圭介くんがいた。


「うそだ……嘘だろ…」


圭介くんは香奈のところに歩いて行く。


「圭介くん……危ないから、」


「うるせぇ!俺は香奈と一緒にいくんだ。香奈、待ってろ」


圭介くんは落ちていたガラスの破片を手にとる。


「圭介くん…ダメッ!」


「香奈、今いくよ」


圭介くんは自分の首にガラスを突き刺してしまった。


圭介くんの返り血をあびる私は、ただ呆然としていた。

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