私の王子様はあなただけ
「真琴が初めて付き合ったのは、高校一年の大地くんだったわね。で、その後は岡本くんだったかしら」


「ちょ、ちょっとお母さん、何言ってるのよ」


「そして、今の篤くんよね。恋愛経験はそんなにあるわけじゃないけれど、いい子を選んだわね。だって・・・篤くん、とってもお父さんにそっくり」


「な、なんでここにいるの?」



今日は仕事だって言ってたのに。それにスーツ姿なんて初めて見た。ニコニコと話すお母さんの後ろから、スーツ姿で現れた篤。


昨日まで髪もボサボサで髭も伸びていたのに、綺麗に整えられた髭。髪の毛は短くなって爽やかになっている。それに初めて見たスーツ姿はカッコ良すぎて目が離せない。


私の彼氏って、こんなにかっこよかったんだ。


「悪い、ちょっと待たせた。美容院の予約が取れなくてさ」


「だったらそう言ってくれたら良かったのに」


どうしよう、篤が優しく微笑むからドキドキもするけれど、涙が溢れる。


今日は仕事だと思っていたし、お母さんと二人でビュッフェも楽しかったけれど、やっぱり篤と一緒に過ごしたかった。


「あら、お母さんは楽しかったわよ。こうやって真琴と過ごすイヴも最後だと思うと、少し、寂しいけれど、美味しいお料理も食べれたし、最高のクリスマスプレゼントだったわ、ありがとう、篤くん」


「いいえ。来年は三人で。いや、お義父さんも一緒に四人で過ごしましょう。すみません、ではそろそろ真琴さんをお借りしてもいいですか?」


「・・・うん。真琴、メリークリスマス。行ってらっしゃい」
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