極上な彼の一途な独占欲
「腑に落ちない顔してるな」

「勘が戻りつつある顔です」

「無理するな。期待してない」

「二回も言わなくても…」


伊吹さんの指の背が、頬をなでる。

あ、ダメだ。

身体がもう、言うことを聞かない。とろりと開いて、好きなように満たしてって勝手に自分を差し出してしまう。

私が陥落するのを待っているみたいに、伊吹さんはじっと動かない。

身体の奥の一点から、じわじわと身体を侵略していく甘い疼きに、身を任せるように私は目を閉じた。

伊吹さんが私のまぶたに唇を落とした。

それが、彼が優しかった最後。




ひょっとしたら打ち上げの最後に知らん顔で合流できるかも。

なんて考えは甘かった。

伊吹さんは途中で私が音を上げるくらい、時間をかけて楽しんだ。

勘なんてもう、取り戻せているかどうかもわからなかった。だって私が勘の良し悪しを発揮する暇を、彼がくれないのだ。

一方的に追い立てられて、寸前で取り上げられて。泣きながら懇願する私を、彼は愛おしそうに見下ろして、甘い甘いキスをする。

悪魔。

声が枯れるほどいじめ抜かれて、身体はもう、滾るのもすすり泣くのも伊吹さん次第。そんな無体をしておきながら、どうやってか私に、愛なんてものを感じさせてみせる。この人怖い。

大丈夫かな。

また、私だけが感じているんじゃないよね。

愛されているって、勘違いしているだけじゃないよね。

ふと不安になるたび、伊吹さんは鋭くそれを感じ取って、大丈夫、とキスして教えてくれる。


大丈夫、大丈夫。

俺がいる。


伊吹さんの匂いと、湿った肌と、重たい身体。

それ全部を抱きしめて、離さないでとしがみついて。

夜通し抱いてもらって、明け方近く、彼の腕の中で眠りについた。


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