極上な彼の一途な独占欲
13. 愛を語ってみようか
「カレンダーの撮影です。すぐそこのハウススタジオで。事務所をまたいでキャスティングしたいということで、お仕事をいただいて」
「カレンダーって、来年の?」
「いえ、再来年の」
伊吹さんがコーヒーに口をつけながら、目を丸くした。
「もう撮るのか」
「カレンダーの商戦は、夏前には始まるんですよ。その前にバイヤーに情報を渡しておかなかったら、どこの棚にも置いてもらえません」
「へえ」
私はアップルパイをお皿の上で切った。ガラスのテーブルと食器がぶつかり、カチンと音がする。
一日、伊吹さんの会社の近くで仕事することになったので、お昼を一緒にどうですかと呼び出してみたのだ。
伊吹さんもオフィスにいたようで、すぐに来てくれた。忙しいだろうし、喫茶店で軽く、くらいが限界かなと思っていたら、「大丈夫だ」と言ってくれたので、簡単なコースのあるレストランに来てみた。
「時間ってわりと自由なんですか?」
「いや、昼休みは決まってるけど、例えばランチミーティングとか、取引先と食事とか、そういう事情があれば別に、誰も気にしない」
「もっとお堅いのかと思ってました」
「うちは営業上がりが多いから、時間の使い方は個人の自由って考えが根付いてるんだよな」
なるほど。
ショーが終わった翌週。久しぶりに家で寝泊まりし、オフィスに通勤し、すぐ日常を取り戻したものの、どこかあの特別な三週間の名残が消えない。
それはこの目の前にいる、伊吹さんという最大の"名残"を手に入れてしまったせいもきっと大きい。
その伊吹さんが、「そろそろ行くか」と腕時計を見たので、私は伝票を取って席を立った。
「ごちそうさま」
「いえ、お忙しいのにありがとうございました」
「今週はそんな忙しくない。休みも取ってるし」
「カレンダーって、来年の?」
「いえ、再来年の」
伊吹さんがコーヒーに口をつけながら、目を丸くした。
「もう撮るのか」
「カレンダーの商戦は、夏前には始まるんですよ。その前にバイヤーに情報を渡しておかなかったら、どこの棚にも置いてもらえません」
「へえ」
私はアップルパイをお皿の上で切った。ガラスのテーブルと食器がぶつかり、カチンと音がする。
一日、伊吹さんの会社の近くで仕事することになったので、お昼を一緒にどうですかと呼び出してみたのだ。
伊吹さんもオフィスにいたようで、すぐに来てくれた。忙しいだろうし、喫茶店で軽く、くらいが限界かなと思っていたら、「大丈夫だ」と言ってくれたので、簡単なコースのあるレストランに来てみた。
「時間ってわりと自由なんですか?」
「いや、昼休みは決まってるけど、例えばランチミーティングとか、取引先と食事とか、そういう事情があれば別に、誰も気にしない」
「もっとお堅いのかと思ってました」
「うちは営業上がりが多いから、時間の使い方は個人の自由って考えが根付いてるんだよな」
なるほど。
ショーが終わった翌週。久しぶりに家で寝泊まりし、オフィスに通勤し、すぐ日常を取り戻したものの、どこかあの特別な三週間の名残が消えない。
それはこの目の前にいる、伊吹さんという最大の"名残"を手に入れてしまったせいもきっと大きい。
その伊吹さんが、「そろそろ行くか」と腕時計を見たので、私は伝票を取って席を立った。
「ごちそうさま」
「いえ、お忙しいのにありがとうございました」
「今週はそんな忙しくない。休みも取ってるし」