極上な彼の一途な独占欲
「そ、そんな気配、ないですよ!」

「どうだかなあ」

「信用されてないのねえ、天羽」

「大きなお世話!」

「ま、いいこと知ったわ」


手元の書類を整えながら、神部が私に視線を投げた。それはまた、あの男の人の恰好をしているときの、色気のある秘密めかした目つきで。


「真っ赤になってますけど」

「ほっといてやってください、免疫がないんです」


ははは、と人をダシにして、薄情なふたりが笑っている。

なによこれ、なによこれ。

せっかくいろいろ清算して、きれいになったところでスタートできたと思っていたのに。よけいこんがらかっているじゃないか。

むくれた私の、指先になにかが触れた。

伊吹さんの手だった。机の下で指が絡まる。ほんの一瞬。

私はじろっと彼をにらみ、ふてくされた声を出した。


「こう見えて、普通の女なので」


悪魔が楽しそうに笑った。






Fin.

──Thank you!

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