極上な彼の一途な独占欲
あきれ顔の暢子から顔をそむけ、モデルの全身をチェックする。森遥香(もりはるか)という、これまでにも何度か仕事をしたことのある子だ。
いったいなにを食べたらこんな長い手足に育つんだろう。先祖に鹿かキリンあたりがいたのかな、と本気で疑うほど美しい。今回、彼女だけは私たちのほうからオファーをかけた。
「最高にきれい。これで今日は最後だから、しっかり決めてね」
「任せてよ」
小さな顔がつんと顎を上げて笑う。この高飛車なところが遥香の魅力だ。
演出を管理する運営会社のスタッフが、誘導するために遥香の前に屈んだ。照明と音楽が切り替わる。その場にいた誰もが、はっとステージに目を向けた。
スタッフの先導で、遥香が長い脚を見せながらステージへと進む。
ステージ上ではコンセプトカーが、白銀色のボディをときたま複雑な虹色にきらめかせ、ゆっくりと回転している。
遥香がそこに合流し、ぴたりとポーズを取ると、その一瞬をカメラに収めたいという衝動を抑えきれなくなった観客たちがこぞって携帯を取り出した。
私は見とれるあまり、肝心の社長一行が到着していたことにも気づかなかった。
「遥香のスケジュールが押さえられてよかったわねえ」
「暢子、仕事って楽しいね」
「は? なにいきなり」
「楽しいよね。私がんばるから、たくさん仕事取ってきて会社大きくしようね」
「心意気はありがたいけど、どうしちゃったの?」
薄気味悪そうに、暢子が私を観察している。
そういう気分なんだよ、言わせといてよ。
伊吹さんが、社長と話しているのが見える。光量を落としたブース内でも、すらりとした彼の姿はすぐにわかる。
がんばろう、私。
がんばろう。
いったいなにを食べたらこんな長い手足に育つんだろう。先祖に鹿かキリンあたりがいたのかな、と本気で疑うほど美しい。今回、彼女だけは私たちのほうからオファーをかけた。
「最高にきれい。これで今日は最後だから、しっかり決めてね」
「任せてよ」
小さな顔がつんと顎を上げて笑う。この高飛車なところが遥香の魅力だ。
演出を管理する運営会社のスタッフが、誘導するために遥香の前に屈んだ。照明と音楽が切り替わる。その場にいた誰もが、はっとステージに目を向けた。
スタッフの先導で、遥香が長い脚を見せながらステージへと進む。
ステージ上ではコンセプトカーが、白銀色のボディをときたま複雑な虹色にきらめかせ、ゆっくりと回転している。
遥香がそこに合流し、ぴたりとポーズを取ると、その一瞬をカメラに収めたいという衝動を抑えきれなくなった観客たちがこぞって携帯を取り出した。
私は見とれるあまり、肝心の社長一行が到着していたことにも気づかなかった。
「遥香のスケジュールが押さえられてよかったわねえ」
「暢子、仕事って楽しいね」
「は? なにいきなり」
「楽しいよね。私がんばるから、たくさん仕事取ってきて会社大きくしようね」
「心意気はありがたいけど、どうしちゃったの?」
薄気味悪そうに、暢子が私を観察している。
そういう気分なんだよ、言わせといてよ。
伊吹さんが、社長と話しているのが見える。光量を落としたブース内でも、すらりとした彼の姿はすぐにわかる。
がんばろう、私。
がんばろう。