極上な彼の一途な独占欲
「じゃあ、また明日」
「はい」
ホテルは高層階と中層階でエレベーターが違う。ロビーを奥へ向かう彼が、にこっと微笑んでエレベーターに消えた。
それを見計らったように、誰かが腕に飛びついてきた。
「ちょっと、美鈴さん!」
「わっ、びっくりした!」
遥香だ。
いかにももう寝る直前という感じで、顔はすっぴん、ラフな部屋着にコートを羽織っている。
「そんな格好で出歩くんじゃないの、どこに行き過ぎたファンがいるかわからないんだよ」
「コンビニ行こうとしただけ」
「そういうのは私たちが行くって言ってるでしょ。なにが欲しいの? 買って持ってくから、あんたは部屋に戻りなさい」
「入浴剤。なるべく種類いっぱい」
「了解」
「それよりなに、伊吹さんとこんな時間まで一緒にいるほど仲いいの? なら先に言ってよ、私ががんばったって無駄ってことじゃない」
小さな顔の中の小さな口が、つんと尖らされて、なおかわいらしい。
私は返答に困った。
「今日は…たまたま」
「ごまかさなくていいよ、伊吹さん私といるとき、あんな楽しそうな顔、一回もしなかったもの。で、美鈴さんのほうは?」
「あ、ええと」
10センチ以上高いところから、大きな瞳がじっと見つめてくる。
「…まだなにも伝えてない」
核心から微妙にずらした返答をした私を、遥香は見逃してくれた。肩をすくめて「わかるよ」とうなずく。
「はい」
ホテルは高層階と中層階でエレベーターが違う。ロビーを奥へ向かう彼が、にこっと微笑んでエレベーターに消えた。
それを見計らったように、誰かが腕に飛びついてきた。
「ちょっと、美鈴さん!」
「わっ、びっくりした!」
遥香だ。
いかにももう寝る直前という感じで、顔はすっぴん、ラフな部屋着にコートを羽織っている。
「そんな格好で出歩くんじゃないの、どこに行き過ぎたファンがいるかわからないんだよ」
「コンビニ行こうとしただけ」
「そういうのは私たちが行くって言ってるでしょ。なにが欲しいの? 買って持ってくから、あんたは部屋に戻りなさい」
「入浴剤。なるべく種類いっぱい」
「了解」
「それよりなに、伊吹さんとこんな時間まで一緒にいるほど仲いいの? なら先に言ってよ、私ががんばったって無駄ってことじゃない」
小さな顔の中の小さな口が、つんと尖らされて、なおかわいらしい。
私は返答に困った。
「今日は…たまたま」
「ごまかさなくていいよ、伊吹さん私といるとき、あんな楽しそうな顔、一回もしなかったもの。で、美鈴さんのほうは?」
「あ、ええと」
10センチ以上高いところから、大きな瞳がじっと見つめてくる。
「…まだなにも伝えてない」
核心から微妙にずらした返答をした私を、遥香は見逃してくれた。肩をすくめて「わかるよ」とうなずく。