青春アンサー



『只今より今年度クラス対抗球技大会を開催します!

第一体育館前掲示板、または各競技代表者に配布されているプリントに今回の対戦表、タイムテーブルが記載されてます。

各自確認をし、速やかに準備を開始してください。』



「「「おっしゃーーーーーいっ!!!!」」」


「優勝はウチだーーー!!」


「見とけよ見とけよ!!!」



…これが工業高校、体育行事の実態だ。


あちこちで野太い叫び声やら奇声が発せられてる。


特に先輩達の闘志が恐ろしすぎる。。。



ついに今日は球技大会1日目。


基本的に2日間に分けて行われるこの行事。


初日の今日は各競技ごとに、学年を2つのブロックにわけて総当りのグループ予選といったところだ。


今日を勝ち抜けば明日は、それぞれの学年ブロックを勝ち上がって来た他学年のチームとのトーナメントになる。


負けてもビリ決定戦の逆トーナメントがあるんだけど。



私と柚葉の出る種目。1学年のバレーは電気科、工業化学科とのAブロック。


午前中と午後に1試合ずつの予定。


…なんだけど。


「柚葉~?」


困ったことにさっきから柚葉が見当たらない。


基本的に自分たちの出番以外は校内の出入りも自由だし、応援に行ったり教室で休んだり過ごし方は人それぞれ。



すれ違いになってもやだし、体育館に居ればいっか。


柚葉捜索は諦めて大人しく体育館に向かう。



「ついた〜…って嘘でしょ?」



見渡す限り、人、人、人。



掲示板前で今日の日程確認してる人。


自分のクラスの応援に駆けつけてる人。


それぞれ審判も体育委員、部活に所属してる生徒がやることになってるから人で溢れすぎてる。



出入口も先輩に塞がれてるし。


すいませーん とか声かけて先輩にどけてもらうとか私には絶対に無理っ!!



ぎゅっ。



え?



どうしようどうしようって狼狽えてた私の右手を誰かが握った。


「おはよ。中、行くんでしょ?

すいませんっ、通りまっす!!」


「えっ、、ちょ、待って藤くん!!」


まだ入るとも答えてないのに少し強引に道をかき分けて腕を引っ張ってく藤くん。


「ふー。この辺までくれば大丈夫だろ。ほんと人やべぇわ、、おつかれ」



めっちゃもみくちゃになったよ。。。



でも__



「ありがと、助かった!」



「どいたま〜」


わしゃわしゃって雑に頭を撫でられる。


「わっ!…ぷっ、ちょ、やめろ!

髪食べてる!!」



「うっわwww めちゃ髪ボッサリしてるwwwwww」



「誰のせいだばか!」



あぁ、通常運転…(笑)



藤くんは、人との距離が近い。


だからスキンシップが多いのも最初は私1人わたわたして、テンパってた。


でも、本人は全く気にする様子がないし、私だけ意識して、戸惑って、耐性ないのが悔しくて今は気にしないようにしてる。笑







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