一人の部屋と二人の夜
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「……どうしよう」
ベッドの端に腰掛けて、一人ポツリと呟いた。
まだまだ寝る気はないというのに部屋のメインの照明は落とし、枕元の間接照明だけを灯してある。
もう一時間ほどこうしているのだが、一向に決意が固まらない。
それどころか、考えれば考えるほど恥ずかしく思えてきて、すぐ側にある枕をぎゅーっと抱きしめた。
隣の部屋があるほうの壁をチラッと見て、ため息を一つ。彼は今、何をしているのだろう。
会いたいとたった一言だけ口に出せたら、前に進めるかもしれないのに。
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