1年後のプロポーズ
1年後のプロポーズ
クリスマスムードが漂う街中をひとりでとぼとぼと歩いていた。
時より吹く冷たい風に肩をすぼめ、ぐるぐるに巻いたマフラーに顔を埋める。
今年のクリスマスは休日ということもあってか街はいつも以上に賑わいをみせていた。人で溢れる大通りを歩きながら、幸せそうなカップルばかりを自然と目が追ってしまう。
「いいねぇ、若者は」
そんな年よりじみたことを呟いてしまったけれど、私だってまだ若いほうだ。勤めている電気メーカーの会社の部署の中でも年齢は下から3番目だし。
それなのになぜこんなことを思ってしまうのか…。
理由はきっとさっきまで一緒にランチをしていた大学時代の友人との会話のせいだ。
思い出しただけでもむなしくなる。
「はぁ……」
マフラーの中でそっとため息をこぼした。
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