1年後のプロポーズ
クリスマス当日である今日は大学時代の友人に誘われて都内のカフェでランチをした。

報告したいことがあると言われ、もしかしたら…と思った私の勘は大当たり。2年間付き合っている彼氏からようやくプロポーズをされたらしい。しかもそのシチュエーションが素敵だったらしく興奮した様子で報告してきたのだ。


『彼が私の誕生日にみなとみらいのホテルを予約してくれて。客室に付いているバルコニーから観覧車を眺めていたら突然、婚約指輪を渡されて【結婚してください】ってプロポーズされたの!』


そのときの様子を思い出しているのか友人のテンションは終始高くて、私はランチのパスタをフォークにぐるぐると巻き付けながら聞き役に徹していた。

結局この日のランチの話題は最初から最後まで友人のプロポーズ話で終わった。それを永遠と聞かされた私は友人と別れた後、なんともいえないむなしさにおそわれて今にいたるというわけだ。

もちろん友人のことは好きなので純粋におめでとうとは思う。そして同時に羨ましいな、とも思う。

私も素敵なプロポーズをしてもらいたかった……。

結婚式と同じようにプロポーズだって一生に一度のことなのに。
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