1年後のプロポーズ
早いものであれからもう1年がたつ。

ホテルから『結婚式1周年の宿泊ご招待』の案内が届いたのは先月のことだった。せっかくなので今年のクリスマスはこのホテルで過ごそうと彼と決めた。

仕事終わりの彼と待ち合わせをしているのだけれど少し早く着いてしまったようで、館内のカフェで待つことにした。

隣の席にはカップルが座っていて、たぶん結婚式の打ち合わせの帰りなのだろう。ふたりで席順を真剣に決めている。

なんだか微笑ましいその光景に1年前の自分達を重ねて、懐かしさに胸がきゅっとしめつけられた。


ーー結婚しようよ。


最初にそう言ったのは私だった。

彼とは高校のときから付き合ってもうすぐ10年になろうとしている頃だった。

結婚に対して彼は少し渋った態度を見せていたけれど、私の押しに負けて最後は了承してくれた。

今思えば、そこまでして私はどうして結婚がしたかったんだろう……。
< 4 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop