1年後のプロポーズ
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「ごめん、待った?」
待ち人は少し遅れてやってきた。駅から走ってきたのか息があがっている。
こんなとき付き合いたてのカップルならきっと『私も今来たところだから大丈夫だよ』なんて可愛らしく答えるのだろうけど。
「遅いっ!10分遅刻!」
あいにく私たちは結婚して1年、付き合ったときから数えると10年と長い付き合いで、可愛らしさなんてもうとっくに捨てている。
本気で怒っているわけではないのに、彼の方は本気で謝ってきた。
「待たせてごめん。ホントごめん」
言い訳することもなく、顔の前で両手をパチンと音をたてて合わせる。
手袋もしていない彼のごつごつとした大きな手は少し赤くなっていて触ったらきっと冷たいんだろうな。