Only you...
丁度、玄関前を通りかかった憂姉は、あたしの顔を見て驚いている。



「ちょっと感動する小説、読んでただけだよ。」



もっとマシな嘘付けよ、自分。



『馬鹿。ちょっとこっち来な。』



憂姉はあたしから鞄を取り上げ、あたしの腕を掴み、階段を上がっていった。



ガチャ。



『ほら、早く入る!!』



「え?」



『「え?」じゃない!!さっさと入んの!!』



「うん。」



そう言って、憂姉の部屋に入らされたあたし。



『はい、ココ座る!!』



憂姉はソファーに座り、隣の空いてるところを右手でポンポンと叩いている。



「ぅん。」



『で、何があったんですか?舞衣さん』



「え?何が??」



あたしは平然を装った顔をする。



『は?何「何でもありませんでした」みたいな顔してんの??あんたの嘘なんてバレバレなんだからね!!』

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