黒猫の香音(後編)
「"四年前行方不明になった子供"に"樹海"…

世間でも暫く騒然となった事件だ。

"水谷陽"って名前を知っていたのは別に可笑しくはないし、裏社会の人間である俺達は偶に樹海に足を運んでは"塵掃除"、なんていうのも珍しくはないから其処で陽に偶然出会して一時的に保護したっていうのも有り得なくは無い。」


只…と瑠華は続ける。




「どうして直ぐに親である香音の…いや!


"馨の旦那"に手渡さなかったんだ…!?」




「!!!!!?」



取り乱したのは瑠華も同じではあったが、それ以上に驚きを隠せなかったのは美月の方だった。



「何だって!?


じゃあこの子はあの子の実の息子で、私は実の…ー」 



「祖母に当たるって事だ。」  



「……!!」   



美月が驚くのも無理は無かった。



美月は"馨"が結婚していた事も、ましてや子供を産んでいた事すら知らなかった。



更に行方不明になっていた子供自体がその娘の子供、つまりは美月の孫だと言うのだから動揺を隠せる筈も無い。
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