黒猫の香音(後編)
「…そんな、なんて事…


でもそれなら何で馨は行方不明の件…いや、それ以前に何で結婚する事すら教えてくれなかったんだい?」



「答えは至ってシンプルなモンだよ。


アイツ、普段は強がって見えるけど中身はその辺と何ら変わりない普通の女なんだ、だから…


誰にも知られず、誰にも悟られず、普通に家庭を築いて、普通に幸せに過ごしたかったんだと思う。


それに、アイツ前から言ってたよ。」




そう言いながら瑠華は陽の肩に手をやった。




「"自分の子供には同じ想いをさせたくない"てな。」



瑠華の言葉を聞き終えた美月はハッとした後総てを悟ったかのように大きく項垂れた。
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