聖なる鐘が響く頃
『友達』から『好きな人』へ。

実希に対する感情は自分でも気が付かないくらい緩やかに、自然なグラデーションを描きつつ変化していった。


いつ頃から好きだった?
いつの間にか好きだった。



「私たち、仲良しだもんね?」



彼女にそう言われる度、今にも溢れそうな想いを笑顔で飲み下してきた。



『品行方正な男友達』であろうとする俺は、何度二人きりで酒を呑もうとも酔った勢いでどうこう、という事態に持ち込む勇気など無い。


それどころかアルコールが入る度に彼女の口から語られる恋愛相談のおかげで、俺は好きな女の歴代彼氏に世界で一番詳しくなっていた。



……そんなのはもうたくさんだ。

どっちつかずの関係は今日で終わりだ。
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