聖なる鐘が響く頃
「あ。一気に呑みすぎて酔いつぶれると思ってるんでしょ?」

「は?」

「洋太が止めろっていうなら、この辺で止めとくか。」


ほんのり赤い顔でケラケラ笑い、実希はテーブルの端にメニュー表を戻す。



「ほーんと。洋太は昔から私の事何でもわかってくれてるもんね?」



話の腰を折られ、何だか一気に力が抜けた。
少し前に頼んでいた水に口を付けながら作戦を練り直す。


……まぁ、またチャンスはあるだろう。



「そういえば、出張中の彼氏は今日の事知ってんの?誘っておいて何だけど、いくら何でもクリスマスに俺といる事知られたらやばいんじゃないの」

「あ、その話なんだけど」



ホラ来た。
いつもならこの辺で彼氏の愚痴が始まる。


『そんな彼氏、いい加減別れろ。俺にしろよ』
と、この流れでいくしかない。


上手くいったらカードキーを見せて、実は部屋をとってある事を……




「私、結婚するんだ。」




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