囚われた花嫁
1.始まり
大学2年になった春。私は父の経営する速水物産の社長室に突然呼び出された。
小さい頃から、私を溺愛する父は、会社関係のパーティーによく連れていかれた。
今日もまた、その様なことで呼び出されたに違いない。
会社のロビーに入ると、受付嬢が笑顔で会釈してくれる。よく顔を出す私の顔をしっかりと覚えてくれている。
そんな受付嬢に、私も笑顔で会釈を返し、エレベーターに乗り込む。
最上階につくと直ぐ、秘書の座るデスクが見える。そこには勿論、秘書の安住が座って仕事中。
私に気づいた安住は立ち上がり、笑顔で挨拶してきた。
「星様、お待ちしておりました。社長は奥でお待ちです」
「…こんにちは安住さん。今日は、どんな要件で呼ばれたんでしょうか?」
いつもなら、直ぐに答えをくれるのに、今日に限って笑みを浮かべるだけで、答えはくれないまま、社長室に通された。
「…失礼します。社長、星様がお見えになりました」
「…通しなさい。星待ってたぞ」
「…お父さん、今日は、どんな要件で呼ばれたんでしょうか?」
父ですら、その問いに答えてはくれない。
「…星、東條社長にご挨拶を」
「…ぇっと…速水星です。初めまして、東條社長」
東條?聞いたことがない名前だ。私は不思議に思いながら、とりあえず挨拶をする。
「…東條社長は、…星、お前と結婚してくれる相手だ」
…は?
…父の言葉が、全く理解できない。
「…東條社長はお優しい方だ。星を幸せにしてくれる。星は何も考えず、ただ、東條社長のお嫁に行けばいい」
…これは、なんの冗談だろうか?初めて会った男と、突然結婚なんて。何も考えず、ただ、嫁に行けばいい?ふざけんじゃないわよ?!
小さい頃から、私を溺愛する父は、会社関係のパーティーによく連れていかれた。
今日もまた、その様なことで呼び出されたに違いない。
会社のロビーに入ると、受付嬢が笑顔で会釈してくれる。よく顔を出す私の顔をしっかりと覚えてくれている。
そんな受付嬢に、私も笑顔で会釈を返し、エレベーターに乗り込む。
最上階につくと直ぐ、秘書の座るデスクが見える。そこには勿論、秘書の安住が座って仕事中。
私に気づいた安住は立ち上がり、笑顔で挨拶してきた。
「星様、お待ちしておりました。社長は奥でお待ちです」
「…こんにちは安住さん。今日は、どんな要件で呼ばれたんでしょうか?」
いつもなら、直ぐに答えをくれるのに、今日に限って笑みを浮かべるだけで、答えはくれないまま、社長室に通された。
「…失礼します。社長、星様がお見えになりました」
「…通しなさい。星待ってたぞ」
「…お父さん、今日は、どんな要件で呼ばれたんでしょうか?」
父ですら、その問いに答えてはくれない。
「…星、東條社長にご挨拶を」
「…ぇっと…速水星です。初めまして、東條社長」
東條?聞いたことがない名前だ。私は不思議に思いながら、とりあえず挨拶をする。
「…東條社長は、…星、お前と結婚してくれる相手だ」
…は?
…父の言葉が、全く理解できない。
「…東條社長はお優しい方だ。星を幸せにしてくれる。星は何も考えず、ただ、東條社長のお嫁に行けばいい」
…これは、なんの冗談だろうか?初めて会った男と、突然結婚なんて。何も考えず、ただ、嫁に行けばいい?ふざけんじゃないわよ?!
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