囚われた花嫁
・笑顔と涙
…どんなに後悔してても仕方がない。結婚してしまったものは取り消せないし。
取り消せたとしても、それは、お金を返せたらの話だ。
そんなの無理に等しい。私はただの大学生で、社会人でもない。お金なんて稼げないし、バイトをしたところで、微々たるお金しか手に入らない。
「…そう言えば、学費はどうしたらいいんだろう」
前期分は、多分、父が払ってくれてる筈…なんか、心配になってきた。私は、立ち上がると、鞄を持ち、急いで大学に向かった。
事務所に向かう途中、声をかけられた。
「…おはよう、星ちゃん。…どうしたの?そんなに血相変えて」
「…あ、おはようございます、光先輩。何でもないんです。ちょっと急いでるので失礼します」
同じ大学に通う4年の三門 光(みかどひかる(男))。同じ経済学部で、私を何かと面倒見てくれる優しい先輩なのだ。
作り笑いを浮かべながらそう言った私は、光の横を通りすぎる。
…。なぜ、ついてくるのか?
困惑な表情で、光に言う。
「…あの、どうしてついてくるんですか?」
「…ん?なんか、心配だから?」
「…大丈夫なんで、おきになさらず」
私は小走りに事務所に向かった。
…ついてきてほしくなくて小走りしたのに、ついてきた。しかも、私は息を切らせてるのに、光は全く涼しい顔だ。
もう、諦めた。
「…失礼します。ちょっとお聞きしたい事がありまして」
「…はい。なんでしょう?」
「経済学部2年の速水星と言いますが、前期の学費は納入されてるか、確認したいのですが」
「…しばらくお待ちください」
光は、私が速水物産の令嬢だと言うことを知っているので、当然不思議そうな顔で私を見ている。
「…お待たせしました。前期の学費は納入されてます」
「…そうですか。わかりました。ありがとうございました」
「…あの!」
行こうとする私達を、事務員さんが止めた。振り返った私に、驚く言葉を放った。
「…前期の学費もなんですが、卒業迄の学費もすべて。それから、寄付金までいただいております」
「…誰の名前で?」
父に、そんなお金は無いだろうに。
「…東條星空様と記されてます」
「…」
言葉がでなかった。
取り消せたとしても、それは、お金を返せたらの話だ。
そんなの無理に等しい。私はただの大学生で、社会人でもない。お金なんて稼げないし、バイトをしたところで、微々たるお金しか手に入らない。
「…そう言えば、学費はどうしたらいいんだろう」
前期分は、多分、父が払ってくれてる筈…なんか、心配になってきた。私は、立ち上がると、鞄を持ち、急いで大学に向かった。
事務所に向かう途中、声をかけられた。
「…おはよう、星ちゃん。…どうしたの?そんなに血相変えて」
「…あ、おはようございます、光先輩。何でもないんです。ちょっと急いでるので失礼します」
同じ大学に通う4年の三門 光(みかどひかる(男))。同じ経済学部で、私を何かと面倒見てくれる優しい先輩なのだ。
作り笑いを浮かべながらそう言った私は、光の横を通りすぎる。
…。なぜ、ついてくるのか?
困惑な表情で、光に言う。
「…あの、どうしてついてくるんですか?」
「…ん?なんか、心配だから?」
「…大丈夫なんで、おきになさらず」
私は小走りに事務所に向かった。
…ついてきてほしくなくて小走りしたのに、ついてきた。しかも、私は息を切らせてるのに、光は全く涼しい顔だ。
もう、諦めた。
「…失礼します。ちょっとお聞きしたい事がありまして」
「…はい。なんでしょう?」
「経済学部2年の速水星と言いますが、前期の学費は納入されてるか、確認したいのですが」
「…しばらくお待ちください」
光は、私が速水物産の令嬢だと言うことを知っているので、当然不思議そうな顔で私を見ている。
「…お待たせしました。前期の学費は納入されてます」
「…そうですか。わかりました。ありがとうございました」
「…あの!」
行こうとする私達を、事務員さんが止めた。振り返った私に、驚く言葉を放った。
「…前期の学費もなんですが、卒業迄の学費もすべて。それから、寄付金までいただいております」
「…誰の名前で?」
父に、そんなお金は無いだろうに。
「…東條星空様と記されてます」
「…」
言葉がでなかった。