囚われた花嫁
…。

それを聞いてからの私は、上の空で、講義中も聞いてるフリ。

気がつけば、目の前には光がいて。

「…光先輩、どうしたんですか?」

私の言葉に、光はクスクスと笑いだした。

「…なっ、何が可笑しいんですか?」
「…だって、事務所からこっち、ずっと星ちゃんの隣にいたんだよ俺」

嘘っ…全然気づかなかった。…いや、それどろこじゃなかった。

「…東條星空って、誰?」

突然核心を突かれ、目を見開く。

「…東條星空って、東條コーポレーションの社長だろ?速水物産とは、なんの関係もない筈だけど」

「…光、先輩」

…光は、星空の事を知ってる。東條コーポレーションのことも。なぜ?私は、何をどう聞いたらいいのかわからず、光を黙って見つめた。

光は、初めて会った時から、私が速水物産の令嬢だと言うことも知ってた。星空の事も…

光、貴方は一体何者なの?

「…俺さ、もう4年だろ?来年には社会人」

…いや、そう言うことが聞きたいのではなくて。

私の困惑の表情を可笑しそうに見ながら、それを無視して話を続ける光。

「…東條コーポレーション、来年からそこの社会人一年生なんだよなぁ」

「…へ?…ぇ、えぇぇぇ?!」

あからさまに驚く私を見て、また笑いだした光。でもすぐに、その笑いは止まった。


「…東條星空は、俺の義兄(あにき)」

「…ぎり?兄?」

「…異母兄弟って行った方が分かりやすいか。俺は、愛人の子」

あまりにも爆弾発言に頭が真っ白になった。
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