囚われた花嫁
さっさとご飯を終わらせた星空は、昨日みたいにキッチンに食器を運ぶと、自室に消えていった。

…星空の行動は、相変わらず不可解極まりない。

そんな事を思いながら、食器を片付け、お風呂に入った。

私も自室に戻ると、先程の勉強の続きをする。一度勉強を始めると、時間も忘れる。でも、根を詰めすぎて、疲れた私は、いつの間にか机に突っ伏して、眠ってしまった。

…。

朝、いつもの時間に目覚ましがなり、目を瞑ったまま、それを止めた。

…。目覚ましから手が離せない。…離してくれない??

私は重たい瞼を開けて、手を見る。

大きな手が、同じように目覚ましを止めている。

何だか嫌な予感がしてきた私は、その手を目で辿ると…

目があった。

「…○×△▫?!」

「…何が言いたい?」

な、なんで、同じベッドで星空が眠っているのか?慌ててふためく私を余所に、星空はまだ、夢うつつ。

「…な、なんで」
「…星が机で眠ってた」

…勉強しながら、寝ちゃったのか。

「…いや、だからって、なんでこんなことに」

「…運んでやったら、離れてくれないから、そのまま一緒に寝たまでだが?」

…自分で蒔いた種のようで、反省するしかないが、やっぱりこの体勢は恥ずかしくてしかたがない。

「…すみません、私のせいですね。運んでくれてありがとうございます。でも、あの、もう、起きませんか?朝の支度もありますし」

「…」

「…東條社長」

「…その呼び方を何とかしろ。そうすれば、離してやらない事もない」

「…な、なんとお呼びすれば?」

「…星空」

「…年上の人を呼び捨てなんて」

「…呼ばないなら離さない」

…今だけ、今だけよ。

「…星空、起きましょう、ね?」

…やっと離してくれ



ない!なんで?!!!!
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