囚われた花嫁
席を外していた安住が、戻ってきた。エレベーターの前でしゃがみこむ私を見つけるなり、慌てて駆け寄り、ゆっくりと立ち上がらせた。
「…星様」
「…安住さんは、知ってたのね。だから、…私の問いに、何時ものように答えてくれなかった」
「…すみません…速水社長に、口止めされていましたので」
安住の言葉に、力のない笑いが出る。
「…どう言うことなのか、説明してください」
切実に訴えかけると、安住は私を奥の会議室に連れていき、何故こうなったのか、説明してくれた。
1.速水物産が倒産寸前だと言うこと
2.東條社長が縁談をしたくないこと
東條が、速水を吸収合併し、倒産の危機を救う変わりに、押し付けられる縁談から逃れるために、私と結婚する事を条件に、二人の社長が、勝手に話を進めた。
「…何度もお止めしました。星様の気持ちを考えて欲しいと」
「…安住さん」
私が小さい頃からずっと父の秘書をしている安住。そんな安住は、私をまるで、自分の娘のように可愛がってくれるもう1人の父のような存在。
父も、安住への信頼は絶大だ。そんな安住の言葉も聞けないほど、会社は傾いていたと言うことだ。
「…星様、」
「…会社のためになるのよね?」
「…はい」
「…お父さんも、安住さんも、会社のみんなも、今まで通り、仕事ができますか?」
「…はい」
安住の返事に、大きな溜め息をつき俯いた。
「…星様、やっぱりこの話は」
安住の言葉が終わらないうちに、私は首を振った。
「…皆のためになるなら、私、結婚するわ」
そう言って、私は精一杯の作り笑いを浮かべた。
「…星様」
「…安住さんは、知ってたのね。だから、…私の問いに、何時ものように答えてくれなかった」
「…すみません…速水社長に、口止めされていましたので」
安住の言葉に、力のない笑いが出る。
「…どう言うことなのか、説明してください」
切実に訴えかけると、安住は私を奥の会議室に連れていき、何故こうなったのか、説明してくれた。
1.速水物産が倒産寸前だと言うこと
2.東條社長が縁談をしたくないこと
東條が、速水を吸収合併し、倒産の危機を救う変わりに、押し付けられる縁談から逃れるために、私と結婚する事を条件に、二人の社長が、勝手に話を進めた。
「…何度もお止めしました。星様の気持ちを考えて欲しいと」
「…安住さん」
私が小さい頃からずっと父の秘書をしている安住。そんな安住は、私をまるで、自分の娘のように可愛がってくれるもう1人の父のような存在。
父も、安住への信頼は絶大だ。そんな安住の言葉も聞けないほど、会社は傾いていたと言うことだ。
「…星様、」
「…会社のためになるのよね?」
「…はい」
「…お父さんも、安住さんも、会社のみんなも、今まで通り、仕事ができますか?」
「…はい」
安住の返事に、大きな溜め息をつき俯いた。
「…星様、やっぱりこの話は」
安住の言葉が終わらないうちに、私は首を振った。
「…皆のためになるなら、私、結婚するわ」
そう言って、私は精一杯の作り笑いを浮かべた。