囚われた花嫁
…家に連れ帰った星空は、強引に、私をソファーに座らせた。

「…星空、どうして」
「…光には、もう二度と会うな」

「…どうしてですか?」

睨むように星空を見て言った。

「…俺はあいつが嫌いだからだ」
「…違う」

「…何?」

「…違いますよね?…私に知られたら不味いことがあるから、会わせないんですよね?」

「…」

私の言葉に、星空は黙りこむ。

「…星空は、私をお金で買ったんですよ。もうそれ以上に、知られてまずい事なんてありませんよね?それとも、私が嫌いで、復讐でもしようと思ったんですか?」

一気に捲し立てた。

「違う!!そんなことじゃない‼」
「…じゃあ、何何ですか?」

星空の事を好きだから、何だって受け止めるから、聞かせてください。

大声で叫びたい。

でも、言えない。星空の重荷にだけはなりたくたいから。

好きな人に秘密にされることが、こんなに辛いなんて。

ポロポロと涙が頬を伝う。

「…星。…俺は、お前の母親の命を奪った」

「…」

…星空は、何を言ってるんだろうか?…生まれて間もなく死んだ母は、体が弱いと聞いていた。だから、亡くなったんだと。

「…速水社長から星が聞いてることは、全て嘘だ。俺の親父が揉み消すために、そう仕向けた」

「…私の母が亡くなったとき、星空はいくつだったんですか?」

震えた声で問う。

「…15歳だったな」
「…そんな歳で、人の命を奪うことなんて出来るわけな「…出来るんだよ」

頭が真っ白になった。
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