囚われた花嫁

・愛と嫉妬

…嘘みたいだ。

…今、星空に抱き締められてる。

…それだけでも夢みたいなのに、星空の口から、愛の言葉を聞くことができた。

…自分の想いは、心の中に閉じ込めておくつもりだったのに、そんな言葉を聞かされたら、自然と、自分の想いを告げていた。

ぎゅっと、抱き締められ、今更ながら我に返り、アタフタする。

「…あの、星空」
「…ん?」

「…私が言ったことなんですが」

そこまで言った私に、星空はニコリと笑みを浮かべる。

「…この耳で、確かに聞いたぞ。…星を、もう二度と、離すつもりはない」

「…わ、私だって、ちゃんとこの耳で、星空の言葉を聞きました」

そう言って、星空の胸に顔を埋めた。


「…星」
「…」


「…うちに戻ってこい」

その言葉に、ばっと顔をあげる。

「…一分一秒、星との時間を無駄にしたくない」
「…でも」

私もそうしたい。…でも、父が、安住が許してくれるだろうか?

「…速水社長の所へ行こうか。反対されるかもしれないが、ちゃんと説得するよ」

「…そんなに簡単に、認めてくれるでしょうか?」

「…罵倒される覚悟も、殴られる覚悟も出来てる」
「…そ!そんな怖いこと言わないでくださいよ!」

その言葉に慌ててそんな言葉が口から、ポロリと出る。


「…星空、私一人で行ってきますから」

その言葉に、星空は片眉をあげるなり、私のおでこをコツンと叩いた。
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