囚われた花嫁
…父を前にしても、怖じけずくことなく、今までの経緯を話していく星空。

それに対して、父も安住も、星空の話が終わるまで黙って耳を傾けていた。

等の私は、何事もなく、無事に話が終わればいいと、ただただ祈っていた。

「…正式に、星さんを私にください」

そう言って、星空は頭を下げる。私も父に頭を下げた。

父は、大きな溜め息をついた。

安住は、困ったような笑みを浮かべた。

「…東條君、私は一度は、星から手を引きなさい。そう言ったな?」
「…はい」

「…星、私はお前が幸せなら、この結婚に賛成だ」
「…お父さん」

「…だが、一度は大きく星は傷ついた。それはわかってるね?私はこれからもこんなことが起こるんじゃないかと、心配でならないんだよ。昔のこともある。それに、お前たちは、年も大分離れてる。価値観が違う」

…心配する父の言葉は最もだ。

…それでも、一緒にいたいと思う。

それではいけないんだろうか。

「…お父さん、私の事を心配してくれてるのはわかってます。でも、昔のことについては、全てを知らなかった。全部知って、尚更星空の事を大切にしたいと、思うようになったの。年齢に関しては、確かに、15歳も違うから、価値観なんて、全然違うと思う。でもそれは、少しずつ補いあえればいいとおもってます」

「…私も、星さんと、同じ気持ちです」
「…お父さん」

…再び、溜め息をついた父。

「…やはり、賛成は出来んな」

…父は頑なな態度でそう言った。


…しばらくの沈黙。



…そんな沈黙を破ったのは、安住だった。



「…速水社長、たかが秘書の私が口を挟むことではありませんが」

「…いい。安住、お前は、もう一人の星の父親も同然なんだから」


「…ありがとうございます。…私も、この結婚は早すぎると思います。だからまず、お付き合いをしてみてはどうですか?結婚は抜きにして、お互いを知る時間を持つのも悪くないかと。そうですね…一年と区切りをつけましょう。一年後、二人の気持ちに変わりがなかったら、もう一度、速水社長にこうやって、会いに来てください、どうですか?速水社長」


父にとって、安住の言葉は絶対だ。仕方なくと言った感じで、父は言った。


「…私はそれで構わない。…東條君、星、それでいいな?」
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