囚われた花嫁
「…私はそれで構いません。星、お前もそれでいいよな?」

星空の言葉に、私は首を降った。

「…何故だ、星?」

父は驚き顔で問いかけてくる。

「…お付き合いから始めるのは私も賛成なんです。でも…」

そう言って星空を見上げれば、星空は私の手をそっと握った。

「…言いたいことがあるなら、素直に言うんだ星。俺に出来ることなら、なんだってするから」

とても優しい口調で言われ、私は小さく頷いた。

「…お父さん、安住さん。私は、星空の傍に居たいんです」
「…だから、付き合うことは、賛成してるじゃないか?」

私が何が言いたいのか分からない父は、困惑顔。

しばし、私を見つめていた安住は、私が言わんとすることを分かったようだった。

「…同棲したいと?」

安住の言葉に、父は目を見開いた。

「…同棲何てそんな事…付き合ってみて、大丈夫なら、結婚して…それから一緒に住めばいいじゃないか?」

娘を取られるとなると、気が気じゃないのだろう。

「…お父さん、お願いします。傍にいるだけでいいんです」

懇願する私を見て、父はどうしたらいいか分からない様子。助けを求めるように、安住を見ている。

…安住も困ったような顔つきで私を見やった。

「…安住さん」
「…速水社長…今まで、星様が、ワガママ言ったことなど、ありましたでしょうか?」

安住の言葉に首を降る父。

「…まだ、学生の身ではありますが、星様ももう、二十歳。大人です。見守って差し上げても宜しいのでは?私にも娘がいますが、同じようなことがありましたが、ちゃんと段階を踏んで、今は結婚して幸せですよ」

…同じ娘を持つ父の言葉。

父は、仕方なく頷いてくれた。

「…分かった。許そう。しかし、私にも条件がある。月に一度は、家で食事を共にすること、いいな?」

「…わかりました。必ず帰ってきます。ありがとうごさいます。お父さん…安住さん」
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