囚われた花嫁
…そして、週末。

私は再び、星空のマンションに向かった。

星空から預かっていた鍵で部屋にはいる。

ソファーには、連れて行けなかった私の相棒の熊が、座っていて、その横に腰かけると、熊を抱き、ぎゅっと、抱き締めた。

「…クマじゃなく、俺を抱き締めて欲しいんだが?」

後ろからそんな声が聞こえてきて、驚いて振り返ると、スーツ姿の星空が立っていて。

私はクマをそっと置くと、星空の傍に行き、抱きついた。

そんな私を見て、星空はクスッと笑い、抱き締め返してくれる。

「…おかえり、星」
「…ただいま」

お互い、その言葉が、なんだか気恥ずかしくて、目を見合わせて笑った。

「…星空、まだ、仕事済んでなかったんじゃありませんか?」

…只今の時刻、午後5時半。

「…星が帰ってくるのに、仕事どころじゃない」

その言葉に目を見開く。

「…と、言いたいところなんだが、まだ少し、仕事がある」

そう言うと、困ったような笑みを浮かべた星空を見て、ふふっ笑う。

「…家で出来る仕事なんですか?」
「…あぁ」

「…それじゃあ、もう少し頑張って下さい。私はその間に、夕飯の支度をしますから」

そう言って微笑めば、星空は私の頭を撫で、書斎に入っていった。

「…よし、美味しいご飯作ろう」

エプロンをして、料理を始める。

…あれ?

ノートパソコンを持った星空がリビングに来ると、テーブルにパソコンを起き、仕事を始めた。

「…そこでするんですか?」
「…星が見えるここでしたい」

同じ空間にいたいと思うのは、お互い同じのようで、凄く嬉しかった。
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