囚われた花嫁

…食事中は、口数は相変わらず少ないが目が合えば、微笑みあってまた食べる。

食事が終わると、私は片付け、星空はお風呂。

星空がお風呂から上がれば、今度は私が入る。

…お風呂から上がれば、ソファーに星空が座っていて、私はその横に、ちょこんと座った。

そんな私を抱き寄せて、星空が私の耳に囁く。

「…俺と同じ香りがするな」
「…」

私のシャンプーもボディーソープも揃っているけど、今夜は星空と同じ匂いに包まれたかった。

でも、恥ずかしくて、そんな事は言えず、赤い顔を隠すように、星空の胸に顔を埋めた。

「…星」
「…」

「…もう、二度と、俺から離れていかないでくれ」

その言葉に驚いて、顔をあげれば、星空の悲しげな顔が見えた。

「…星空？」
「…星がいなくなって、どれだけ大事な存在かって、思い知らされた。こうやって、星をまた、この腕に抱き締められることがどんなに嬉しいか。もう二度と手離したりしない」

私の頬を優しく撫でながら、星空が紡ぐ言葉に涙が浮かぶ。

「…星空は、私にとって、本当に大事な人」

幸せな言葉に、涙は似合わない。私は涙を流すまいと必死に堪えて、微笑んで見せた。

「…愛してる、星。誰よりも」

『愛してる』なんて、素敵な言葉だろうか。

幸せすぎて、堪えていた涙がホロリと落ちた。

「…星、お前の気持ちを聞きたい」

星空は優しく涙を拭って、私に問う。

私は、星空の手の上に、自分のてをそっと添え、微笑んで。


「…私も星空を愛してます」


そう囁けば、星空も微笑み、私に優しく口づけた。