囚われた花嫁
「…紗理奈、止めろ」

星空はそう言って、紗理奈を睨んだ。

「…止めないわよ。星空、星さんは、貴方を信用してないじゃない。こんな状態で結婚なんて、そのプロデュースなんて、受けられないわ。私は帰るから」


…結婚なんて?

…プロデュースって、何のこと?

私と光は目を見合わせた。

…星空は大きな溜め息をついた。

「…紗理奈、そうだな。今日は帰れ。後日また、改めて話をしよう」

「…面倒なことは無しにして欲しいわ、全く」

苛立った顔のまま、紗理奈はその場を後にした。

その場に取り残された3人。

私と光は、未だ真相は分からないまま、星空を見ることしかできない。

「…星、お前は邪魔者なんかじゃない。むしろ、当事者で、一番必要な人だ。だから、部屋にもどれ。光、これは、俺と星の問題だ。お前が首を突っ込むような事じゃない」

「…星ちゃんを不安にさせといて。俺は帰らないよ。納得いく答えがないままじゃ、星ちゃんを任せられない」

睨み合う二人を、とりあえず、収めた方がいいようだ。

こんな往来で、話すことではない。

「…わかりました。部屋に戻ります」
「…星」「…星ちゃん?」

ホッとしたような顔をした星空。

何でと言った顔をした光。

「…星空…光先輩も一緒に、部屋に帰ります。こんなところで聞くような話ではないみたいなので、話しは聞きます。でも、光先輩は私を心配してくれて、今だって、ずっと心配してくれてるから、その場にいてもらいたいんです」


私の言葉に、溜め息をついた星空。私は黙って答えを待った。


「…分かった」
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