囚われた花嫁
「…光、そう言うことだから、お前が心配する事は何もないし、星を渡すつもりもない。今日は帰れ。いや、もう、星には会うことは許さない。星は、俺のモノだ」

「…星ちゃん」

背中に、光の声が聞こえて、振り返る。

「…良かったね。ただの勘違いで」
「…光先輩」

申し訳なさそうな顔で光を見つめる。

と、光は、フッと笑った。

「…そんな顔しない。もう、帰るよ」
「…玄関まで見送ります」

「…星」

私の言葉に、星空が私を呼び止める。

光は、笑顔で首を降る。

「…そんな事されたら、俺、何するかわかんないからさ。ここでいいよ」

そう言うと、光は振り返らず、部屋を出ていった。

…。

二人きりになった部屋の中。

私はやるせない気持ちで、俯いたまま。

静かに星空が近づいて来るのがわかる。

…怒られる。

…呆れられる。

…愛想つかれる。

…見放される。

悪いことばかりが頭を駆け巡り、この場から逃げてしまいたいけど。

そんな事は…

「…星空?」
「…星は、ヤキモチ妬きなんだな」


私をぎゅっと、抱き締めて、星空が言う。

「…ゴメンなさい。全部私の勘違い、全て私の落ち度です」

そう言うと、更に、星空が、私を抱き締めた。

「…星空、苦し…「…俺も嫉妬した」


…え?…星空が嫉妬した?なんで?


疑問に思うと、少しばかり、星空腕の力が緩んだ。

私は、星空を見上げた。

「…光と手を繋いでた」

…あ。
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